【インタビュー】家庭料理が果たす、教育と食育の場とは?

こんにちは、レシピ制作専門スタジオ、菜々食クッキングクラス事務局でございます。

あたたかい季節になりましたが、お変わりなく過ごしていますでしょうか。

さて、ご紹介するのは、スタジオの人気シリーズである先生方のインタビュー企画。

今回のテーマは「家庭料理が果たす、教育と食育の場」についてです。

長きに渡る料理教室のご経験、そして、子ども向けのレッスンなどをされている先生にお話を聞きました。

「この数十年、幾年かの間、私たちの食に関する環境は大きく変化しました。1960~1970年代に急速な経済成長とともに、インスタント食品が飛躍的に広がりました。その反動で、食の安全性という点が強く意識されるようになり、食品表示を気にするという方も増えていったのではないかと思います。ところが、食におけるインフラが整備されましたし、1960年代から情報化時代と呼ばれる通り、1995年頃よりインターネットーも普及し、2000年代にはICTインフラの整備、デジタル社会の構築が進んでいきました。便利なものが増える反面、これからの時代は、デジタル化できないものの価値が高まると感じています。例えば、音楽ではコンピューターを用いるもの、イラストや美術でもデジタルツールを使ったものが多いですが、肝心のコンテンツ、肝となるクリエイションの部分については、人間が作り出しているからこそ、価値があるものだと感じています」

令和の時代において、外食を楽しむこと、家庭料理の関係性についてお聞きしました。

「教室が神戸にある通り、私たちは神戸出身。神戸と言えば、山と海が近く、海の幸、山の幸など、様々な食材が流通しているロケーション。さらに、旧居留地、北野異人館、中華街など、異国情緒の溢れています。外国の文化も身近にあるため、諸外国の食文化も気軽に味わえる環境にありますし、身近にあるからこそ、新しいカルチャーを吸収しようという土壌が根付いていると思います。子どものころから、身近なところに洋食屋、中華料理店、喫茶店などがあり、外食では、美味しいお食事はもちろん、色々な味を楽しみ、それは良し悪し関係なくいただく機会に恵まれていたのだと感じます。そんな外食との触れ合いで、家庭料理にどうやって活かそうか、この料理は、家庭で再現できるなとか、色んなアイデアの源泉でもあったんです。ところが、近年、街中にはファストフード店、チェーン店が増え、全国どこでも同じような味になってしまう、食の体験が均一化、平均化されるという点ではいいのかもしれないですが、やはりそれは、個性的、オリジナリティと言う点では残念に感じることが多いですね」

先生方が外食される際、意識されていることはあるのでしょうか。

「外食の利点は、新しい視座の獲得にこそ、大きな価値があると思います。家庭料理の場合、どうしても、普段の実生活の延長で、マンネリ化してしまうという方も多いのではないでしょうか。個人の趣味嗜好、得意なもの、好きなものに偏りがあれば、なおさらで、例えば、この料理が好きだから、この食べ物が好きだからとなれば、意識していないと、同じような食卓、献立が続いてしまうということになりますよね。外食であれば、自分とは違う人が作り出す料理をいただくことになりますし、自分とは異なる食文化を持っている人が料理を提供するわけです。このポイントを意識するだけで、空腹を満たすだけの食事ではなく、新しいものを生み出すためのエネルギーに還元することができる、これは声を大にしてお伝えしたいことですね」

外食を楽しむことで、家庭料理が広がる。この意識の捉え方は目から鱗。その点についてさらに教えていただきました。

「料理を味わうということはもちろんですが、自分ではない作り手が作るものを食べることで、自分自身の立ち位置が確認できますよね。それはすなわち、自分への料理の自信、食の確信につながると思います。できればそれも楽しんで欲しい。親子で外食するのであれば、できるだけ、楽しむこと、エンジョイという意識は大切です。親が楽しんで食事、料理と向き合うと、子どもにも影響があると思います。子どもには柔軟な発想、みずみずしい感性を養って欲しいですね。豊かな発想、クリエイティブな表現力、幅広い視点で物事を捉える、これを料理一つをテーマにしても答えていけるようになって欲しいですね」

昨今、子どもの食育の必要性が叫ばれていますが、その点についてはいかがでしょうか。

「現代では、子どもたちの可能性の芽が潰されていくのではないかと懸念しています。これは親がいけないというより、食のインフラはもちろん、多くのインフラ、ツールが整いすぎているせいです。便利なものが増える一方で、自ら積極的に考えること、自ら生み出すこと、これらが圧倒的に不足しています。これからの時代、情報化、都市化、国際化がどんどん進んでいきます。この難局を乗り切るには課題を見つける力、情報を的確に集める収集力と取捨選択能力、物事を捉えて説明するプレゼンテーション、課題を解決する能力が求められると思います。食においても同様で、食に関する情報を集め、その情報が正しいかどうか判断する必要があります。取得した情報を応用できるかどうか、家庭料理にどうやって反映させるかどうか考え、実践していく。実践した料理の魅力を食べた人に伝える、もし改善するものがあれば、何が原因で、何を改善するべきか考え、次にトライする。外食を楽しんで、家庭料理に活用するというだけでも、その背景には色んなプロセスがあることがわかります。そうは言っても実際に実践するとなると難しい、まして子どもと一緒に実行するなんて、と考えている方も多いはず。これを打破するためには、やはり、親の意識はもちろん、食への教養というのは不可欠だと考えています。まずは親自身、食に関する意識を持ち、知識を少しずつでも習得していく。現代文や数学、現代史を学ぶように、食の知識を集め、学んでいく。我が家では外食を楽しむことはもちろんですが、外食以上に楽しめる、おうち外食を楽しむことを意識しています。楽しむのは、やっぱり美味しい健康が基本の中心軸にあるからですし、何より外食でいただく食事よりも美味しいですし、満足できます。そんな積み重ねをしていき、親子で食事を通じて学び合えるといいですよね」

最後に家庭料理が果たす、教育と食育の場について、メッセージをいただきました。

「家庭料理は教育と食育の場だと考えています。多くを知ることで、子どもの感性が刺激され、視野が広がるものだと思います。インスタント食品、冷凍食品、昨今の時短、作り置き、簡単食事ブームで、便利になっている一方、失われているものが大きいと感じます。食事が簡素化されれば、次第に他のものも簡素化される。簡易化すればするほど、サボる癖も増加している、堕落すると、塾や習い事にも姿勢が表れるという声も聞くぐらいです。食事は直接、自分たちの身体に入るものですし、人生において、大きな比重を占めると思います。食事の時間が満たされているからこそ、日々が充実している、満足できるのではないでしょうか。たくさんのことを経験し、視野を広げ、表現力と発想力、そして想像力を磨いてほしいですね。壮大なことを言っていますが、実は身近なことから親ができる、大人がやるべきことは、些細な日常の暮らしにあるもの。食生活が変われば、将来が変わっていく。ぜひ、日々の食事をできるだけ美味しく、外食もしっかりと楽しんで味わって、外食でも家でも、美味しいお料理を幅広く楽しんでいただきたいと思います」

いかがだったでしょうか。

ご興味のある方はホームページ、SNS、動画などもチェックしてみてください。

-----------------------▼記事に登場する先生方やスタジオのご紹介▼-----------------------

◆レシピ制作専門スタジオ/菜々食クッキングクラスについて

2002年より神戸の新しいお料理教室として、オーガニックの要素を取り入れオリジナルの料理やパーティー・おもてなし料理を提案。レシピ制作専門スタジオでは、企業向けのオリジナルレシピ開発、タイアップ企画レシピ、連載レシピコンテンツ、料理動画コンテンツ、飲食店のメニュー開発などを提供中。

◆指宿さゆり先生のプロフィール

神戸出身。アメリカなどでパーティ料理やオーガニックを学び、2002年に「菜々食CookingClass」を主宰。神戸スタイルの新しいお料理教室として、オーガニックやマクロビオティック、ヴィーガンの要素を取り入れオリジナルの料理やパーティ・おもてなし料理を提案。これまでに多くの卒業生を輩出し、卒業生による料理教室は神奈川県、京都府、鳥取県、長崎県など、東日本から西日本まで、幅広いエリアで開業。カフェ店舗開業では兵庫県明石市・西脇市で開業し、教室で学んだレシピがメニューに。レシピ制作専門スタジオでは料理研究家代表として企業向けのオリジナルレシピ開発、タイアップ企画レシピ、連載レシピコンテンツ、飲食店のメニュー開発などに従事。また、大の蕎麦好き、スパイス通でもあり、蕎麦やスパイス料理をテーマとしたグループも運営している。

◆ヴィーガン料理の実績

2002年より20年近い経験、各ジャンルの料理をベースにしたヴィーガン料理を提供。

これまでに和食、洋食、中華、イタリアン、フレンチ、エスニック、地中海とジャンルを横断した1200品をこえるヴィーガン料理を制作、監修、料理撮影の実績有。

◆指宿シンイチロウ先生のプロフィール

兵庫県出身。ネットベンチャー、広告会社でクリエイティブディレクター・コピーライターとして経験を積み、フリーランス活動を開始。フリーのWEBクリエイターとして、WEBライティングを中心に所属メンバーと協働し、コピーライティングやフォトグラファー、映像制作、飲食店プロデュース、研修講師として活動。グルメや食ジャンルを中心にファッションや音楽、アートやエンタメ、企業経営やマーケティングなど幅広いジャンルのメディアサイトに記事を執筆。レシピ制作や料理動画を制作するスタジオを主宰し、ウェブサイトや販促用のレシピ動画の撮影や編集も手掛け、グルメ雑誌や飲食店のメニュー開発にも従事。WEBライティングや働き方に関する知見を活かし、就職支援の講座、クラウドソーシングを通した働き方セミナーにもパネラーとして登壇。コープ委員会、コープこうべ第四地区総代、コープサークル「パンダ三田」など、地域や子供に関する活動も。

【Mail】recipeibusuki@gmail.com

【Twitter】 https://twitter.com/SaishokuCooking

【アメブロ】https://ameblo.jp/saisaishokucookingclass

【Facebook運営】「究極の料理・至福のグルメ】作って食べたりグルメを紹介したり!」https://www.facebook.com/groups/240256206104363



IBUSUKI SAYURI

2002年に料理教室を開講。ジャンルレスのオリジナルの料理やパーティー・おもてなし料理を提案しています。現、レシピ制作専門スタジオ。

0コメント

  • 1000 / 1000