【インタビュー企画】夏と言えば、カレー!カレーについて先生に聞いてみた!

こんにちは、レシピ制作専門スタジオ事務局でございます。

暑くなってくる季節ですが、お変わりなく過ごしていますでしょうか。

さて、今回はカレー特集です。

カレーと言えば、主にスパイスを用いて調理された料理のことです。

様々な文化や国で様々なバリエーションが存在する料理の総称で、

日本でも人気のあるグルメの一つですね。

カレーは、一般的には、肉や魚、野菜などの食材をスパイスと一緒に調理し、ソースやスープとして提供されることが多いです。

そんなカレーはインドが発祥とされていて、カレーと聞いて、インドを想像する方も多いのではないでしょうか。

インドカレーが最も有名ですが、他の国や地域でも独自のカレーが存在しています。

例えば、タイのガパオカイ(バジルチキンカレー)、そして、それ以上に有名になったのが日本のカレーライスですね。

他にもマレーシアのランダン(ココナッツミルクカレー)などがあります。

カレーの味や風味は、使用されるスパイスや調味料によって異なりますし、地域の食材などによって大きく異なります。

一般的なスパイスとしては、クミン、コリアンダー、ターメリック、カルダモン、シナモン、クローブ、チリなどがあり、基本的なスパイスを知っていれば、何かと料理に活用できますね。

今や、カレーは世界中で人気のある料理であり、そのバリエーションと風味の豊富さが多くの人々に愛されています。

そんなカレーですが、先生の手にかかれば、どのような料理に昇華されるのでしょうか。

そこで今回は、先生のカレーコレクションの一部(これが一部って、すごすぎ…)を

紹介しながら、カレーに関するお話を聞いてみたいと思います。

まずは、先生の作るスパイスカレーについて聞いてみました。

「スパイスカレーについては、かなりの数を作っています。テーマとしては、欲張りな私の『自家製スパイスカレー』といったところでしょうか。この間、テレビでインドのカレー店に関する特集をしていて、生徒の方が見ていたそうで。その中では、超豪華ですね、みたいな紹介でしたが、メニューの構成はもちろん、紹介する内容も、先生に聞いた感じで、むしろ、先生が監修ですか?と。でも先生の方が豪華ですよね、という話がありました」

テレビの特集よりも豪華だと感じた生徒の方々。なぜ、そのように感じたのでしょうか。平均以上のパフォーマンスを生むための秘訣は何でしょうか?

「よく聞かれますが、私は基本を凄く大切にしています。私の場合、本場の調理を忠実に再現することは前提なんですよ。テレビで自己流料理、創作料理なるものが紹介され、疑問に感じますね。よくあるのが、料理が得意だという方の設定で、テレビに出演されている方が、食座や調味料の配分、はかりを使わない、グラムを計算しない、自己流だと話されていることがありますが、基本が出来ていないのに、自己流というのは、実際にはほとんどありえないと思うんです」

基本を大切にされていることがわかりました。もう少し、詳しく教えてください。

「例えば、スポーツで考えてみましょう。野球で言えば、独特のピッチングフォーム、バッティングスタイルの方がいたとしましょう。アートでもそうですね。ピカソは、独特なタッチですが、それ以前に精巧なスケッチができたと言われています。はじめからめちゃくちゃなフォームで、豪速球が投げれませんよね。むやみにバットを振ってもボールに当たらないですよね。その世界でスタンダードと言われる方法があり、これを実践したうえで、自分なりのスタイルを体得する。料理も同じで、スタンダードのスタイルをしっかりと研究したうえで、さらに見識を深めつつ、これまでの料理に関する経験、知識、アイデアを昇華させていくんです。スパイスに関しては一通り、本場の使い方を試しました」

基本を大切にするということは理解できました。ただ、基本を大事にするだけでは、昇華させることは難しいと思います。その辺りはどうなのでしょうか。

「これはかなり感覚的な話になってしまうのですが、私のアイデンティティって、輪郭がはっきりしていて。物事をはっきりとするタイプですし、好き嫌いもはっきりしている。そして何より、一筋縄では無理であり、他の人がこれぐらいでいいかなというものに、まったく持って納得できない人間なのです。やるなら徹底して、最高のものをという考え方なんです。だからこそ、基本をマスターするという、基本を守るという前提はありますが、基本を得るだけでは、満足できないということです」

日本でもかなり多くのカレー店はもちろん、本場のインドカレー、スパイスカレーなど、たくさんのお店が台頭してきました。そんな中、感じたことがあるとか。

「あるメディアで、本場インドの超豪華なスパイスカレーを作るということで、紹介していました。スパイスカレー屋の紹介ということで期待していましたが、拍子抜けでした。日本でなじみのあるカレーと、インドなどのカレーとは、違っていて当然ですが。でも日本人が好むものが正解であるということも理解はできる。インドカレーというものは、本当は水っぽくて正解ですし、煮込み続ける、一晩寝かせるというのは、それがゼッタイにいいものとは、違うと思うんです。それに味付け、スパイスに関しても、不均等な味わいでも、それはそれでありなわけで、いわゆる、匙加減というものは存在していると考えています。カレーという料理から地政学を紐解けば、イギリス経由という考えができますし、インネパカレーというのは、インドを経て、ネパールに渡り、中国の文化も受けつつ、日本人が好むというものに変化を遂げたものであると解釈できるわけで。ネパールの方が日本で作っているものは、なネパールに存在していないわけで。例えば、アメリカやヨーロッパにある、ジャパニーズ寿司店があったとして、それは、日本の寿司店の寿司ではないですよね?日本の寿司店とは違って、じゃあ、どこが違って、どうして違うのか。単にこれは違うものだと断定するだけではなくて、その背景を考え、知ることで、食の変化というものを理解できるわけです」

日本の現状を理解しつつ、見識を広げるために食べ歩きをすることも大切にしている先生。その中で、どのような考え方に至ったのか聞いてみました。

「現在、たくさんのカレー店が存在し、日本のカレーは本当に美味しいと感じています。ただ一方で、ユーザーの意見を聞くことが、必ずしも正しいとは思えないんです。チャパティなどは作ったとしても、ナンはホットケーキミックスのようなナンミックで作っているのが現状ですし、ギーが高ければ、ギーは使わず、マーガリンで代用する。すると、マーガリンの風味が強くて、カレーに合わない。パラタでもマーガリンの風味がする店もありましたしね。消費者の求めるものを、店主なりに実現した結果はであるのですが。これは社会学でいうところの、アンケートの矛盾に似ていますが、美味しいと評判のスパイスカレーというのは、言い換えるならば、イギリス系、ジャポネーズ、ネパールインド風カレーって感じなんですよ。何を言っているのか、さっぱり、と思う方もいれば、うんうんと納得いただける方もいます。それが苦手だった私は、どっぷり南インド、スリランカ、パキスタンなどの正統派が好きなんですね」

様々なカレー店を食べ歩いたという先生。店主とのコミュニケーションを深め、その国についての理解も深めたそうです。

「人によっては苦手かもしれないですが、個性的なカレーが大好物になったことをきっかけに、これらのスパイスカレーをどんどん掘り下げて行きました。各国のそれぞれの特徴があり、これは文化的なもの、歴史的な意味での背景も知ることができる。南インドは、インドの南部に位置していて、言語も多様。タミル語、テルグ語、カンナダ語、マラヤーラム語などが話されていますが、料理に関してざっくりと言えば、ライスを主食としつつ、ココナッツやタマリンドなどの地域特有の食材を使用したカレーがありますね。北インドは、インドの北部に位置していて、主要な州には、ヒマーチャル・プラデーシュ、ウッタル・プラデーシュ、パンジャーブ、ハリヤーナー、ラージャスターン、デリーなどがあり、料理に関してざっくりと言えば、タンドリー料理(焼き料理)、カレー、ビリヤニ(米料理)、ロティ(平らなパン)、ナン(パン)などがありますね。スリランカは、南アジアに位置する島国であり、インド洋に浮かぶ国です。正式名称は「スリランカ民主社会主義共和国」で、(Democratic Socialist Republic of Sri Lanka)です。スリランカは、西海岸や東海岸、内陸部などで地域ごとに微妙な違いがあり、島国であるという点で、日本に通じるものがある。パキスタンは、正式名称は「イスラム共和国パキスタン」(Islamic Republic of Pakistan)で、インド亜大陸の北西部に位置し、インド洋とアラビア海に面しています。カレーに関しては、スパイスを豊富に使用したカレーやグリル料理が特徴で、ビリヤニ、ナン、カバブ、ダール、甘いデザートなどもあります。もちろんこれは一般論で、特徴を明確にするというよりも、地理的な感覚を養いつつ、各国の違いを知るということが大事だと思っています」

様々なカレーを知った先生にとって、自家製の魅力を聞きました。

「各国からスパイス使いを学んだことで、スパイスというのは、ストレートな部分と、変化球の部分が混合し、融合しつつ、それらが奇跡的な調和をしているということを実感しました。私の作るカレーというのは、奇妙さと、極端に言えば、寒気がするような不思議な感覚に陥ると言われます。自家製のスパイスカレーというのは、かなりの研究を重ねてきたので、仕事でも滅多なことがない限り、ちゃんとしっかりと作り込んだものは提供できませんし、そもそも、スパイスを揃えるだけでもかなり難しいです。そして、使用するフレッシュなものこそ、これは単なる知識だけでは生かせない。日々、常に変わる食材、調味料の配合など、考えることは多すぎる。私が用意する食材、使用しているスパイス、調理方法の多さには驚かれますよ。世界各地を食べ歩いたという方でも、私のカレー理論を聞くと、カレー店で教えて欲しいと言われることもあります」

店で作るカレーではなく、自家製のこだわり。具体的には、どのような点が違うのでしょうか。

「自家製の場合、やはり、原価が高くなりすぎるというのはあります。そして、単に素材だけがよくてもダメで、料理スキルも要しますよね。もし仮にワンオペでカレー店をするならば、限界があります。それよりも私のレシピをもとに、多くの料理人がいるところの方が、いいモノを作れる自信があります。合理性で言えば、飲食店の場合、原価を抑え、売上を揚げることが必要で、原価計算だけではなく、いかに回転率をあげるかも大事ですよね。その点でわかりやすく言えば、カレーに使う、ニンニクと生姜。例えば、国産のガーリック、国産のジンジャーなどで作った方が美味しいとしても、効率を考えれば、ガーリックはパウダーになるでしょうし、価格を考えれば、外国産にするでしょう。自家製の場合、フレッシュの国産ニンニク、国産生姜を用意できますよね。カレーペーストなどを使わず、初めからやる味はまた格段に違いますよ。フライドオニオンにしても、すでに揚げたものを使うところも多いですが、手作りで、フライドオニオンを作れば、風味が違います。すでに揚げたものは、どうしても酸化していますし、時間の経過とともに、品質の劣化は仕方がないのです。これをフレッシュで、自家製なら、どうですか。想像するだけで、違いは明白です」

知れば知るほど、先生のカレーに関する情熱を知ることが出来ました。美味しいカレーを作るため、心がけていることを聞きました。

「カレーだけではなく、食材の管理も含め、そもそも料理と言うのは、食材の調達含めて、選択と集中なんです。スパイスに関して場、管理も難しいですが、扱い方も難しい。ですが、これはカレーだけではなく、和洋中と、色んなジャンルの料理をしてきたからこそ、共通するものもありますし、活用できるものがある。私の場合、世界中のお料理を手掛けて、何よりも楽しんで没頭し、研究するからこそ、昇華できると考えています。世界のおいしさを自分のものとして、ちゃんと落とし込める。最近では、Instagramに投稿している料理写真を見られて、真似をされることも多くなりました。もちろん、参考にしていただくのはいいのですが、そのお店が、どの点を参考にしているのか、どこまで落とし込めているのか、その辺りを観察していると興味深い。だからあまりレシピに関しては公開せず、そのお店の味を確かめるのも面白いと思うんです」

近年作られた、新作のスパイスカレーの背景を聞きました。

「季節によって違いますが、今回は軽めのテイストにしようとか、しっかり背筋に来るようなものとか、奇妙だけど美味しいとか、色んなアイデアを詰め込んでいます。でも共通するのは、それでも最大限、美味しい味で仕上げる姿勢。スパイスカレーも大事ですが、この一食の後は、次に何を作ろうか考えますし、しっかり、和食や中華や洋食へ、引き継ぎたいし、リセットもしたい。食への思いは貪欲で、お店に行く以上に美味しいものにしたい。おうち外食を楽しめるように、研究を重ねたい。アンチ外食ではなく、おかげで、他のお料理をどんどん楽しめるようになりましたし、一味違ったグルメもありがたいもので、すべてが自分の糧になっていきます。そうやって一つ一つ落とし込めているか、自分の料理を振り返り、家庭料理の本気度というのを発信していきたいですね」

いかがだったでしょうか。

ご興味のある方はホームページ、各SNSなどもチェックしてみてください。

-----------------------▼記事に登場する先生方やスタジオのご紹介▼-----------------------

◆レシピ制作専門スタジオ/クッキングクラスについて

2002年より神戸の新しいお料理教室として、オーガニックの要素を取り入れオリジナルの料理やパーティー・おもてなし料理を提案。レシピ制作専門スタジオでは、企業向けのオリジナルレシピ開発、タイアップ企画レシピ、連載レシピコンテンツ、料理動画コンテンツ、飲食店のメニュー開発などを提供中。

◆指宿さゆり先生のプロフィール

神戸出身。アメリカなどでパーティ料理やオーガニックを学び、2002年にクッキングクラスを主宰。神戸スタイルの新しいお料理教室として、オーガニック、精進料理の要素を取り入れ、オリジナルの料理やパーティ・おもてなし料理を提案。これまでに多くの卒業生を輩出し、卒業生による料理教室は神奈川県、京都府、鳥取県、長崎県など、東日本から西日本まで、幅広いエリアで開業。カフェ店舗開業では兵庫県明石市・西脇市で開業し、教室で学んだレシピがメニューに。レシピ制作専門スタジオでは料理研究家代表として企業向けのオリジナルレシピ開発、タイアップ企画レシピ、連載レシピコンテンツ、飲食店のメニュー開発などに従事。また、大の蕎麦好き、スパイス通でもあり、蕎麦やスパイス料理をテーマとしたグループも運営している。

【Mail】recipeibusuki@gmail.com

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【Facebook運営】「究極の料理・至福のグルメ】作って食べたりグルメを紹介したり!」https://www.facebook.com/groups/240256206104363

IBUSUKI SAYURI

2002年に料理教室を開講。ジャンルレスのオリジナルの料理やパーティー・おもてなし料理を提案しています。現、レシピ制作専門スタジオ。

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